おしゃぶりは乳幼児の安定した情緒状態を保つための有効な道具として広く認識されています。
しかし、その一方で、おしゃぶりの使い方や使い続けることが子どもの口腔発達、特に歯並びや言語発達に影響を及ぼす可能性があるという懸念もあり「おしゃぶりを使って後悔した!」という意見も飛び交っています。
この記事では、おしゃぶりの利用についての迷いや後悔しないための正しい使い方について詳しく解説します。その利点と欠点をしっかりと理解した上で、適切な使い方を選ぶことが重要です。
- おしゃぶりを使用する「メリット」と「デメリット」
- おしゃぶりで後悔する理由と、その対策方法
- おしゃぶりの適切な使用年齢
- 欧米でのおしゃぶり使用率
目次
おしゃぶりの使用で後悔する理由
画像出典:ぱくたそ
おしゃぶりのメリットとは?
まず、おしゃぶりにはどんなメリットがあるのかを紹介します。
おしゃぶりの最大のメリットは、子どもの「精神安定剤」になることです。
新生児は、母親のお腹の中にいたときから自然と吸う行為を行っています。
そのため、おしゃぶりを口に入れて吸うことで、子どもは安心感を得ることができます。これは、子どもが安心して眠れるための重要な要素となります。
また、おしゃぶりを使うことで、口呼吸を予防することができます。口呼吸は、アレルギーや風邪、歯並びの問題など、さまざまな健康問題を引き起こす可能性があります。
以上のように、おしゃぶりには多くのメリットがあります。しかし、これらのメリットを享受するためには、適切な使用方法と適切な使用期間を守ることが重要です。
さらにおしゃぶりには、指しゃぶりを予防する効果もあります。
指しゃぶりは、歯並びの問題を引き起こす可能性がありますが、おしゃぶりならそのリスクを軽減できます。
おしゃぶりのデメリットとは?
おしゃぶりのデメリットについて考えるとき、その中で最も大きな問題は、歯並びの悪化や口元の形状変化といった口腔内への影響が挙げられます。
これは、おしゃぶりを長時間、または強く吸うことで、歯や顎の成長に悪影響を及ぼす可能性があるからです。具体的には、前歯が突き出たり、上顎が狭くなったりすることがあります。
これは、おしゃぶりを使い続けると癖になりやすく、長時間に渡って使用していると噛み合わせが悪くなる確率が、使用していない子供と比べて高くなるという実例があるからです1。
さらに、言葉掛けやふれあいが減る、発語の機会が減る等のデメリットも指摘されています1。これらの影響は、おしゃぶりの使用を長期間続けることでより顕著になる可能性があります。
その他にも、おしゃぶりの使用は子どもが自然と口呼吸になることを防ぐ効果がありますが、これが逆に長期的な口呼吸の癖を形成する可能性もあります。
口呼吸は風邪を引きやすくなる、口臭や歯周病の原因になる、ほうれい線や口元のたるみを引き起こす、睡眠時無呼吸症候群のリスクを高める、歯並びが悪くなるなど、様々な問題を引き起こす可能性があります1。
以上のように、おしゃぶりのデメリットは多岐にわたります。そのため、おしゃぶりの使用は適度に制限し、子どもの成長と共にその使用を段階的に減らしていくことが推奨されます。
おしゃぶりがダメな理由解説
おしゃぶりがダメな理由としては、前述の通り、歯並びの問題だけでなく、言語発達の遅れや感染症のリスク増加などが考えられます。
例えば、おしゃぶりを常に口にしていると、言葉を話す機会が減り、結果的に言語発達が遅れる可能や、おしゃぶりに依存する可能性があります。
特に、2歳まではおしゃぶりに依存しやすいとされていて、依存するとその後おしゃぶりをやめさせるのが困難になることがあります。
おしゃぶりと歯並びの関係性
おしゃぶりと歯並びの関係性についての研究は多岐にわたり、その結果、おしゃぶりの長期使用が歯並びに悪影響を及ぼす可能性があることが明らかになっています。
具体的には、おしゃぶりを長時間使用すると、上顎が狭くなったり、前歯が突き出たりすることがあるとされています。
これは、おしゃぶりのゴムやシリコンが微弱な圧力を歯や顎に与え、それが成長期の乳幼児の歯や顎の成長に影響を及ぼすためです。
また、おしゃぶりの使用は2歳頃までにはやめることが推奨されています。
これは、乳歯が生え揃う2歳半頃以降におしゃぶりを使用し続けると、噛み合わせ異常が残りやすくなるからです。
特に、おしゃぶりを強く吸い続けると、歯列の幅が狭くなる「歯列狭窄」の症状が出る可能性があり、これが永久歯の生えるスペースを奪い、乱杭歯(乱ぐい歯)の原因になる可能性があります。
ただし、これらの影響はおしゃぶりの長時間使用や強く吸う場合に限られ、適度な使用であれば大きな問題にはならないとも言われています。
また、おしゃぶりの使用は子供にとっての「精神安定剤」の役割も果たしており、無理におしゃぶりを外すと、指しゃぶりを始めてしまう子供もいるため、一人ひとりの状況に合わせた対応が必要です。
おしゃぶりはみっともない!?
「おしゃぶりをするなんてみっともない!」という事を言う人もいますが、おしゃぶりの使用がみっともないと感じるかどうかは、個々の価値観によるところが大きいです。
一部の人々は、おしゃぶりを使用する子どもを見ると、それが子どもの成長を阻害すると感じるかもしれません。
しかし、ほとんどの場合おしゃぶりが子どもに安心感を与え、ストレスを軽減する効果があると考えられているので、気にする必要はないでしょう。
このように、おしゃぶり使用がみっともないと感じるかどうかは、親の価値観や子どもの状況によるところが大きいでしょう。
おしゃぶり使用で後悔しないために
画像出典:ぱくたそ
- おしゃぶりで寝かしつけたらダメ?
- 新生児からおしゃぶりは大丈夫?
- 赤ちゃんのおしゃぶりは何歳まで?
- おしゃぶりの消毒頻度
- おしゃぶりは何個必要?
- おしゃぶり使用率は欧米だと日本の2.3倍!
- 【総括】おしゃぶりで後悔するポイントまとめ
おしゃぶりで寝かしつけたらダメ?
おしゃぶりを寝かしつけに使用することが良いか悪いかは、子どもの状況や親の考え方によって変わります。
しかし、一部の専門家は、おしゃぶりを寝かしつけに常用すると、子どもがおしゃぶりなしで寝ることが難しくなる可能性もあると指摘しています。
一方で、おしゃぶりは子どもを落ち着かせ、安心感を与える効果があります。
特に、新生児期から1歳頃までの子どもにとっては、吸う行為自体がストレスを軽減する効果があるので、おしゃぶりを適度に使用することで、子どものストレスを軽減し、より良い睡眠を促すことが期待できます。
しかし、おしゃぶりの使用には注意が必要です。例えば、新生児から1ヶ月頃の子どもに対しては、おしゃぶりを使わない方が良いとされています。
これは、おしゃぶりで満足したり疲れたりすると、母乳やミルクの摂取が減少する可能性があるからです。
また、おしゃぶりを服やベッドに固定する行為は、事故につながるため絶対に避けるべきです。
以上のことを考慮すると、おしゃぶりを寝かしつけに使用するかどうかは、子どもの年齢や状況、親の判断によると言えます。
ただし、おしゃぶりの使用は適度にし、子どもの成長とともに自然と卒業できるような環境を整えることが大切です。
新生児からおしゃぶりは大丈夫?
新生児からおしゃぶりを使用することは、基本的には問題ありません。
ただし、母乳育児を行っている場合は、おしゃぶりの使用が母乳の摂取を妨げる可能性があるため、控えることが推奨されています。
また、新生児の場合、おしゃぶりのサイズや形状にも注意が必要です。新生児用のおしゃぶりは、口腔内の小さな空間に適したサイズと形状をしているため、適切なものを選ぶことが重要です。
赤ちゃんのおしゃぶりは何歳まで?
おしゃぶりの使用は、歯科専門家の間で一般的に推奨される最適な年齢は2歳から3歳までとされています。
この推奨は、2歳から3歳の間に乳歯が生え始め、おしゃぶりの使用が歯並びに影響を及ぼす可能性があるためです。
さらに、この年齢範囲は言葉の習得が始まる重要な時期でもあり、おしゃぶりが口にあると発音に影響
おしゃぶりの消毒頻度
赤ちゃんのおしゃぶりの消毒については、衛生的な観点から重要な役割を果たします。
おしゃぶりは赤ちゃんの口に頻繁に入るため、細菌やウイルスの感染源となり得ます。
そのため、使用後は必ず水で洗い、さらに1日に1~2回は専用の消毒液で消毒することが推奨されています。
特に、乳幼児は免疫力が未発達なため、感染症にかかりやすいとされています。そのため、適切な清掃と消毒は必須となります。
また、おしゃぶりが落下した場合も、そのまま赤ちゃんに与えるのではなく、必ず洗浄を行うことが重要です。
おしゃぶりは何個必要?
おしゃぶりの必要な数は、子どもの使用頻度や親の洗濯の頻度によりますが、一般的には2~3個が適切とされています。
これは、おしゃぶりが汚れた場合や紛失した場合にすぐに取り替えられるようにするためです。
また、おしゃぶりは定期的に新しいものに取り替えることが推奨されています。
これは、使用による劣化や汚れが溜まることで、感染症のリスクが高まる可能性があるからです。
以上が、おしゃぶり使用についての迷いと後悔についての詳細な解説です。おしゃぶりの使用は、子どもにとっても親にとっても大きな影響を及ぼす可能性があります。
そのため、その利点と欠点をしっかりと理解した上で、適切な使用方法を選ぶことが重要です。
おしゃぶり使用率は欧米だと日本の2.3倍!
おしゃぶりの使用率について調査したところ、日本の乳幼児の約30%がおしゃぶりを使用している一方で、欧米ではその数値が70%以上に上昇し、日本の2.3倍以上の使用率を示しています。
この大きな差は、文化的な違いやおしゃぶりに対する認識の違いが大きく影響していると考えられます。
特に、日本ではおしゃぶりの使用が乳幼児の口腔発達に悪影響を及ぼすとの認識が広く持たれているのに対し、欧米ではおしゃぶりが乳幼児の安定した情緒状態を保つための有効なツールとして認識されています。
これらの違いが、各国のおしゃぶり使用率にどのように影響を及ぼしているのか、さらなる研究が求められます。
【総括】おしゃぶりで後悔するポイントまとめ
今回の記事の内容をまとめます。
- おしゃぶりの最大のメリットは子どもの「精神安定剤」になること
- おしゃぶりを使うことで口呼吸を予防することが可能
- 指しゃぶりを予防する効果もおしゃぶりには存在する
- おしゃぶりのデメリットとしては、歯並びの悪化や口元の形状変化が挙げられる
- おしゃぶりを使い続けると癖になりやすく、長時間に渡って使用していると噛み合わせが悪くなる確率が高くなる
- 口呼吸を防ぐ効果があるが、これが逆に長期的な口呼吸の癖を形成する可能性もある
- おしゃぶりの使用は適度に制限し、子どもの成長と共にその使用を段階的に減らしていくことが推奨される
- 無理におしゃぶりを外すと、指しゃぶりを始めてしまう子供もいる
- おしゃぶりの使用は、歯科専門家の間で一般的に推奨される最適な年齢は2歳から3歳までとされている
- おしゃぶりの必要な数は、子どもの使用頻度や親の洗濯の頻度によりますが、一般的には2〜3個が適切とされている
- おしゃぶりの使用率について調査したところ、日本の乳幼児の約30%がおしゃぶりを使用している一方で、欧米ではその数値が70%以上に上昇し、日本の2.3倍以上の使用率を示している